FASHION TIPS
1970年代の終わりに私をファッションの世界に導いたのは、三宅一生のデザイン活動を紹介した本「East meets West」にあった高橋睦郎の「人間は着衣のサルである」という言葉でした。人間を動物と分かち、衣服は国境を越え、社会を反映して時代とともに変化していく―――その変化を自分の手で創り出しながら社会とかかわって生きたい、ファッションをライフワークにしようと決意しました。
以来、高感度市場が登場しブランドショップが台頭した80年代のファッション成熟期、バブル崩壊後のSPAとセレクトショップが登場する価格破壊・多様化の90年代、ラグジュアリーブランドとバリューSPAの世界戦略がせめぎあう2001年以降のファッションの2極化の時代を、アパレルデザイナーとしてスタートし、後にファッションディレクターとして企画・生産・販売にかかわり、時代の変化を肌で感じられたのは幸運でした。国内・東南アジア・欧米の企画会社、素材メーカー、縫製工場、デザイナー、パタンナーたちとの出会いに刺激され、今日のProStuffのネットワークが築き上げられました。
5年前より後進の指導にも携わるようになったせいか、最近はファッションの将来が気にかかります。2008年秋に上陸したH&Mは、以前から欧米では注目していましたが、やはり衝撃でした。高い商品回転率、短期的な利益の追求など、常にトレンドを反映させる「ファストファッション」の特徴は、購買頻度の増加です。値ごろ感と流行を反映したおしゃれ感が若者の購買欲を刺激し、予想以上の支持を得ています。しかし一方では、持続可能な社会をめざす時代の流れに逆行するような、多品種小ロットによる大量生産・大量消費が生まれることになります。
バブルに踊りその崩壊を体験した私たちの世代が次代に引き継ぐのが、欲望を刺激して消費をあおるビジネス・モデルであっていいのか?
米国流自由主義経済の崩壊が云われるなか、2009年は従来の物欲刺激型のマーケティングからの方向転換は可能か、新たなる未来への方向性を探求したいと思います。
ファッションは21世紀の夢を見るか?
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